小津安二郎生誕120周年記念「東京物語」上映会とお墓参り
2023 12 12 今日は映画監督の尾津安二郎が
生誕120年目、
世を去ってから60年目になる日です。
ちょうど還暦になる監督は自分の誕生日に亡くなった。
他の文豪やスターを持つ地方小都市が皆そうであるように(それもちょうど数字が120、60に落ちる)。
オズの誕生日、没後70周年に合わせ、鎌倉市が主催した映画上映会に行ってきた。
実は<東京物語>は、<秋刀魚の味>ほど深く心を揺さぶられた作品ではなかったが
浜口竜介監督のトークショーがあるというので
片道50分の時間と980円の料金を払ってはるばる神奈川県大船渡までやってきました。
それだけユーチューブで見たボン・ジュンホ監督と浜口監督のトークが面白かったので、このくらいならと思った。
通勤客で賑わう満員電車で新宿渋谷を通り抜け、神奈川県に入ると
嘘のように電車は空いていて、年末年始の忙しさと疲れのせいか、ぐっすり眠りながら大船で降りた。
いくら原節子の古典的な顔と鼻声が好きだとしても、
浜口監督の話が面白くても、大船渡が遠いのは変わらない。
今日の上映館である鎌倉芸術館は
オズの映画を配給していた松竹(富士山を背景に松竹竹と書かれたロゴを見たことがあるだろう)と関係があるようだ。グーグルマップの近くに松竹が入った名前が出てくる。
火曜日の10時というサラリーマンや学生には無理な時間にもかかわらず
300-400人くらい入りそうなホールはほぼ満席でした。
映画館の椅子のようなカップホルダーなんて当然ないし、座席は狭く、隣の観客はどんどん動いているし、2017年度に製作された4Kフィルムは、だからといってものすごく画質が良いようにも見えなかったし、なにより、周囲に居眠りしている人が続出し、映画を見るにはあまり良いとは言えない環境でした。
1500円(1部のみ、2部まで見ると3000円)払って、なぜこの狭い劇場の椅子に座るのだろう。立派なクラシック愛好家も演奏会で居眠りすることがあるそうだから、仕方ないだろうと言い聞かせながら内心、電車で居眠りしたおかげか眠くなくて、彼らのように居眠りしなくてもいいんだなと内心ホッとした。
おそらく3回目、劇場で初めて見る「東京物語」は、思ったより眠くなく、退屈しなかった。
大きな画面で見ると、新しく見えるものが多かった。
一番印象に残ったのは、みんなが絶賛する小津監督の画面構成の設定やカメラの角度や動き、
人物の動線に対する研究や賛辞が私のような知識のない一般人にも伝わるほど美しく計算されていることを認識したことです。美しく、計算されていることを認識できた。
よく練られたファインダーは演劇の舞台のようでもあり、絵画のようでもあった。
このような「大画面で見てよかった」程度の感想で終わるはずだったのだが
浜口監督の上映後の説明を聞いて、小津の映画の奥深さを初めて実感した。
小津の映画では、登場人物の動きを以下の3つに分けることができるそうだ。
同期 シンクロ
同じ場所、同じ時間で複数の人物が同じ行動をする。
例:一緒に立ち上がる、同時に顔を伏せる。
連動
同じ空間で時間間隔を置いて、ある人物がした行動を別の人物が少し変形して同じ行動をする。
例:起きるタイミングが少し違う
反復
別の場所、別の時間で、別の人物がある人物の行動をそのまま踏襲する。
このような動きを綿密に設計した後、実際の撮影時にはファインダーで確認調整する作業を行うことにより
人物の空間と時間を再構成し、物語を展開していく。
平面的なナラティブに合わせた背景設定などを行っているわけではないということだ。
だいたい「東京物語」の主人公は老夫婦で、上京して子供たちに疎まれながらも
それでも私たちは幸せな方だ。と自分を慰めながら
最後は老婦人が世を去るという、まあまあ平凡な話だと思うのですが
実はこの映画の主人公は、唯一老夫婦をよく養っている死んだ息子の嫁、
直接育てた子供ではなく、他人に当たる紀子の物語である。
浜口監督の言葉を借りればこうだ(加筆多め)。
憧れの物語は、単なる老夫婦の話ではなく
時間と社会に逆らうことなく敗北していく私たち一人一人の物語。家族夫婦の中に属していても最後は一人で死ななければならない運命の人間が
見ず知らずの他人、他人とお互いを認識し、理解できる瞬間があることを
その奇跡を信じて作った映画濱口竜介監督
良いアフタートークを聞いて、オズへの理解が少し深まったようで良かったです。
浜口監督の紹介で、オズは120年前の今日12月12日に生まれ、60年前の今日、彼の還暦の時に亡くなったことを知った。
60年前の今日、彼の還暦の時に亡くなったことを知った。
そんな記念すべき日に「東京物語」を再鑑賞できてよかったです。
「入場料がかかるし...移動も面倒だし...」と敬遠していた
小津安二郎の墓がある円覚寺にやはりお墓参りに行くことにした。
入場料は値上がりして大人500円
梅などの花が美しいお寺で、ここの墓地にオズの墓がある。
12月なのに遅い紅葉
大雄殿はまだ美しいです。
墓地は関係者しか行けないが、オズ監督の墓は家族の許可を得てファンも参拝できる。
ファンも参拝することができる。
入口の標識で小津と書かれた場所を確認し、丘を登ります。
今日が誕生日であり、命日ということもあってか、すでにファンらしき人が4~5人集まっていた。
みんなそれぞれ来ていて、手に花、お香を持っていた。
本格的に水で墓石を洗うファンの方。
大船渡駅で買ったマリーゴールドとグラスに入った日本酒を買った。
小津安二郎監督は愛飲家として有名だった。
そんな緻密で完璧な作品を作った監督の墓石には
"無"何もないと書かれている。
花を飾り、日本酒を置いた。
手を合わせて祈った。
生きている間に、どんなに小さなものでも
少しでも意味のあるものを残せるようにと。